ISO 14001(環境マネジメントシステム)
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ISO14001(環境マネジメントシステム)とは
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国際標準化機構で制定された、環境を切り口とした経営システムの国際規格が、環境マネジメントシステム(ISO14001)です。
ISO14001は1996年に発行され、2004年、2015年に改訂が行われ現在に至っております。
ISO14001を一言で説明するならば、環境に与える負荷をなるべく少なくしていくために、会社内で環境方針を策定し、会社の与える環境影響を評価し、それにもとづいた目的・目標を設定、実行し、経営層による見直しを行い、環境に与える負荷を少なくしていくという、一連の仕組み(環境マネジメントシステム)を構築することが要求されている規格です。
詳細は「ISOとは」を参照して下さい。
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ISO14001の必要性
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1)日本政府の取り組み |
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地球温暖化防止
2020年12月、日本政府は「2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」と世界向けてに宣言すると共に、洋上風力や水素など重点14分野からなる「グリーン成長戦略」と実行計画を発表しました。
そのため、2030年代半ばまでにガソリン車の新車販売禁止や、火力発電の燃料に使う水素を2050年までに2000万トン導入する等の目標を打ち出しております。
こうした脱炭素技術の開発に取り組む企業を支援するため、2兆円の基金を用意する方針も発表しております。
更に、CO2排出に課金して削減を促す仕組み(カーボンプライシング)の導入の検討も始めております。
<地球温暖化防止に対するこれまでの取組>
最初の国際的取り組みは、日本で開催締結された京都議定書(1997年)から始まり、地球温暖化防止のため先進国に対して、温室ガス排出削減目標を定めるよう求められた。日本は2012年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減する目標を定め、チーム・マイナス6%と銘打った地球温暖化防止国民運動を推進。
その後、2009年日本政府は2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという目標を再設定し、チャレンジ25キャンペーンを展開。
そして2015年12月国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で京都議定書の後継となるパリ協定が採択され、日本を含む175の国と地域が署名し、2016年11月発効している。
パリ協定は今世紀後半には温室効果ガス排出量実質ゼロの「脱炭素社会」の実現を目指すとしている。
これを受けて日本政府は「2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)」を実現すると宣言している。 |
グリーン購入制度
製品やサービスを購入する際に、環境を考慮して、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入する「グリーン購入法」が平成13年4月から施行され、国等の機関にグリーン購入を義務づけるとともに、地方公共団体や事業者・国民にもグリーン購入に努めることを求めています。
エコ製品の税率軽減や助成制度
例えば、低公害車や低燃費の自動車には、自動車税や自動車取得税を軽減する優遇措置が取られております。
太陽光発電などクリーンエネルギー普及にたいする助成金制度などがあります。
このように国として環境問題に力を入れて取り組んでいる時に、企業としても環境問題に取り組む社会的責任があると思います。
ISO14001認証取得に取り組むことはこのような国の要請に応えることになると共に、時代の潮流に乗り、企業を存続させていくためにも必要なことです。
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2)ISO取得企業の優遇制度 |
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国交省及び多数の都道府県はISO14001認証を取得すると、競争入札参加資格審査での主観点数を、加算する制度を取り入れてISO認証取得企業を優遇しております。
また自治体によっては認証取得費用を一部助成して優遇しております。
ISOの効果を認めているため、企業に認証を取得奨励し、強い企業体質になってもらいたいとの思惑があるものと思います。
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3)企業間取引の条件化 |
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欧州ではCO2削減を含むESG(環境、社会、企業統治)への取組が取引企業の評価基準に盛り込まれる例が増えてきており、今後増々加速していくものと思われます。
また自動車業界はISO14001認証取得が、取引の条件になってきておりますし、輸出関連企業はもちろんのこと、その他の企業においても取引の条件になりつつあります。
また、取引の条件にしていない企業でも、認証取得を強く要望・指導しており、今後も取引を継続していくためには真剣に取り組まなければならない現状があります。
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4)環境に対する意識の高まり |
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社会的な環境問題に対する意識の高まりから、環境に配慮しない企業活動は成り立たない状況になりつつあります。
環境問題は、まさに世界的な問題であり、環境にやさしい企業・製品が選ばれる時代です。
環境問題に真剣に取り組まない企業はやがて淘汰されていくでしょう。
これからの経営者には環境は成長戦略との認識が大変重要であり必要です。
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5)企業の経営体質強化としての取り組み |
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脱炭素社会に向けた世界的な潮流を考慮しない経営は、いずれ淘汰されてしまいます。
今後ますます厳しい経営環境が予測されるなかで、生き残っていくためには、環境経営システムを構築、運用することによって、経営体質の強化を図っていく必要があります。
環境経営システムを構築、運用することによって次のような効果が期待でき、結果として経営体質の強化が図れます。
(1)経費の削減や生産性・歩留まりの向上等によるコストの削減
(2)ISO14001認証取得による社会的な信頼性の向上
(3)環境にやさしい企業としての企業イメージの向上
(4)営業ツールとしての活用による売り上げの拡大
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ISO14001取得企業数
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国内のISO9001・ISO14001取得企業数推移(2024年3月31日現在)
参考:毎年4月更新予定
全国産業別 ISO14001取得企業数推移(2024年3月31日現在
参考:毎年4月更新予定
注釈:
上記グラフの年度で2011から2013に飛んでいるのは2011年までは12月末、
2012年度から他のデータと合わせる為、3月末現在のデータに変更した為、
2012年のデータが2011年と近似の為、2013年から表示しております。
全国都道府県別 ISO14001取得企業数推移(2023年3月31日現在
参考:毎年4月更新予定
2024年から都道府県別取得数が公表されず更新できません。
北部九州でのISO14001取得企業数(2023年3月31日現在)
分 類 |
全 国 |
佐賀県 |
福岡県 |
長崎県 |
大分県 |
熊本県 |
全産業 |
13,859 |
73 |
348 |
31 |
60 |
98 |
基礎金属・加工金属 |
2,575 |
13 |
50 |
5 |
7 |
16 |
電気的光学的装置 |
1,543 |
8 |
24 |
5 |
4 |
9 |
建設業 |
2,892 |
26 |
92 |
4 |
1 |
29 |
参考:毎年4月更新予定
2024年から都道府県別取得数が公表されず更新できません。
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世界のISO取得状況
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海外でのISO認証取得状況がわかります。
日本はISO9001では初期段階で取り組みが遅れたため、第6位から徐々に4位まで順位を上げてきておりましたが、1昨年来順位を下げてきて現在は第6位です。
ISO14001はその反省から素早い対応が功を奏し、当初からダントツの世界第1位を維持してきましたが、残念ながら中国に第1位の座を明け渡し、現在は第2位です。
これらのデータは世界のISO認証取得状況でグラフ化しております。
世界のISO14001認証取得状況(ここをクリック)
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